1

3/7
前へ
/7ページ
次へ
 今年もこの季節がやってきた。  毎年、パイプ椅子に座って見ているだけのイベント。  友達は私も少しでも参加できるように。と、歌詞を見せてくれているのだろう。  その気持ちは嬉しいし、参加できないのは仕方ないと分かってはいるけど、やっぱり悲しい気持ちになる。  私はしっかりと歌詞に目を通し、素直に1番いいと思った曲を指さした。 (私もこの曲好きなの)  本当かどうかは分からないけれど、そう言って笑ってくれると私も嬉しくなる。 (この曲を第一希望にしてみるね) 友達はその譜面を右手に、他3枚を左手に持った。  その光景を見る私の目が寂しげだったことに、私自身は気づかなかった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加