29(承前)

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「こいつは弾薬や物資を運ぶ補助ロボットだろ」 「ああ、そうだけど限界積載量は90キロある。今は青い旗が一本立ってるだけだ。ジャクヤを運搬するくらいなら簡単だ」  ここまでの3時間半、敵の戦闘ロボットとも闘ってきたが、誰ひとり兵士を乗せて運ぶという工夫をした者はいなかった。あらゆるものを軍事利用する戦場でさえ、意外なほどの盲点があるものだ。タツオは兄に質問した。 「王将に人を搭載するのはルール違反にならないですよね」  逆島少佐はまぶしいものでも見るように、自分の弟を見た。 「ああ、誰も考えつかなかったから、ルール違反という規定さえない。だが、安全は保証しないぞ」
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