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タツオはあっけにとられていった。
「驚いた。兄さんが狙撃手として……なんというか、こんなにできるなんて」
タツオはこれまでの反感もあって兄を認めるのが好きではなかった。逆島少佐はボルトアクションで空薬莢(からやっきょう)を排出し、新たな銃弾をこめている。表情を変えずにいった。
「作戦部でなにやら戦略ばかり練っているから、銃の扱いはからきしだと思っていたのか。拳銃でも自動小銃でも狙撃銃でも、わたしのほうがおまえよりは成績が上だぞ」
にこりともしないのが嫌味だった。兄・継雄は「須佐乃男」作戦の責任者として、候補生全員の成績表や詳細な人事査定まで目を通す立場にあった。座業の成績も訓練評価もつつ抜けなのだ。気にさわる。
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