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ジャクヤと兄が5秒でススキの群生のなかに消えると、つぎはタツオの番だった。マルミは10メートルほど離れた黒土の大地に狙撃されたときのままの格好で倒れている。この模擬戦用の戦闘服はレーザーを照射されると硬化するのだ。だが、マルミの意識は鮮明なはずだった。もう戦死扱いなので、無線もつかえないがタツオは声をかけた。
「マルミちゃん、いってくる。そこですこし休んでいてくれ」
狙撃され倒れたときのままの格好で、マルミは返事を寄越した。
「健闘を祈ります。タツオさん、神戸牛のステーキ絶対おごってくださいね」
「まかせろ! みんな、援護射撃を頼む」
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