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午前十時半の時点で、戦闘を続けているのはタツオの1軍とジョージが指揮する4軍のみとなった。負傷者扱いのクニとサイコ、そして戦死扱いのマルミ以外、幸いなことにあらたな負傷者は出ていないが、体力的にはもう全員が限界だった。兄の継雄は決して弱音は吐かないが、顔色は蒼白になっている。無理もない。作戦部ではほとんどがデスクワークの頭脳労働である。これほど長時間の戦闘訓練など、進駐官養成高校以来ではないだろうか。
敵陣のなかを半周して、タツオたちは再びサイコが待つススキの群生の近くに戻っていた。タツオは全員の疲労具合を確かめるため、そっとチームの表情を盗み見た。
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