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「友梨に聞いときます。期待はしないでくださいね。」
「まじありがとう!!ホント幸樹と出会えて良かったわ!!」
(あぁもう!)
ドクドクと騒がしく心臓が脈打つ。
この動悸は嫌だ。
どんどん惹かれていくことがわかるし、嬉しいのに泣きたくなる。
「そーゆー事はくっついてから言ってください。万が一の時が気まづくなるんで。」
それを隠すようにわざとツンとした声を返した。
透はそれに笑う。
「万が一とか言ってくれるなんて優しいなぁ」
そして予期しない答えが返ってきた。
「は?」
それに幸樹は素っ頓狂な声を上げるしかない。
あのセリフのどこをどう受け取って優しいと感じたのだろうか。
「いや、万が一って事はくっつく確率のが高そうに聞こえんじゃん?」
そう言って屈託なく透が笑う。
この子供っぽい邪気の無い笑みも大好きだ。
「いや、まぁ。」
「ん?」
「先輩を振る女ってそうそういないでしょ。いい人だし。」
幸樹が言えば、透は目を大きく開いた。
そして少し照れたように笑う。
「面と向かって言われると照れんじゃん!てか俺そんな百戦錬磨とかじゃねーよ?人生振られまくりだっつの!」
「--マジですか?」
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