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「よく此処に来てるんですか?」
佐野さんは必死に冷静さを取り戻そうとしています。
「週末に。ここの料理は何だかほっとするし美味しいし。それにお店の雰囲気もハルさんも好きなの。ぽんすけもね」
そう言って北原さんは、ぽんすけを見て微笑みました。
ぽんすけは嬉しそうに、おすわりのまま尻尾を振り振りしています。
「そうなんですか!じ、実は僕も週末に来ようと思ってまして!奇遇だなぁあ!」
今初めて聞きましたが、本当でしょうか?
私は思わず笑ってしまいそうになるのを、必死で堪えていました。
佐野さんは、かぼちゃをパクパクと勢いよく食べながら「いやぁ!ハルさんは料理の天才ですねぇ」と、何かをを誤魔化すかのように大きな声で仰られています。
「嘘。私、今日はたまたまなの。本当は水曜日だけ来てるんです」
「えっ!」
「・・・あははっ。やっぱり嘘ついてたんだ」
北原さんは、驚く佐野さんを見て笑いだしました。
「い、いやーあはは!いやぁ・・・あはは・・・」
佐野さんが、こちらを見て困った表情で笑っています。
「嘘ですよ。本当に週末に来てるんです。佐野さんも来るならまた会えますね」
「そ、そうですね!そうです!会えますねぇ、楽しくなるなあっ」
「お友だちになれますか?」
北原さんは、突然まじめな表情で佐野さんに訊ねました。
「へ?あぁ、もちろんです!友達!良いですね、友達です!タメ口で良いですよっ」
そう言って、ニカッと嬉しそうに満面の笑みで答えました。
「そっか・・・嬉しいです。ありがとう。今まで友達出来なかったから。此処に来てから友達が増えて、本当に嬉しい」
北原さんも本当に嬉しそうに私の方を見て、笑顔になっていました。
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