雨の日は静かに

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おにぎりのアルミホイルを剥き、おかかのおにぎりを食べます。 「これ、ご飯も凄い美味しいですね。おかかもコンビニなんかのと全然違って美味しい。もうひとつは何なんだろう。楽しみだなぁ」 彼は子供のような笑顔で言いました。 私は、隣で彼のコンビニ弁当を食べます。 おかずの殆どは手を付けず、頑張って働く彼に残しておくことにしました。 「あ、僕、木ノ(きのした) 拓海(たくみ)って言います。すみません、ご飯まで頂いたのに名乗り遅れてっ」 鮭のおにぎりを一口食べたところで、胸元の小さな名札を見せながら、慌てた様子で言いました。 「私は、桜井ハルよ。ここから村に行く道の途中で食堂をやってるの」 静かな駅には、私達の声以外にも、すぐ傍の山から鳥の可愛らしいさえずりが聞こえてきます。 「へぇ!食堂ですか!こんな美味しいご飯が食べられるなら、行ってみようかなっ」 「是非。いつでもいらしてください。お野菜は、私や村の方々が作ったものでお料理をしているんですよ」 「良いですね!必ず行きます!」 そう言って木ノ下さんは、再びおにぎりを食べ始めました。 まだシトシトと小雨の降る、単線の線路を眺めながら、ゆっくりと時間の流れる小さな駅で、私は若い駅員さんと一緒に過ごしました。 街でのお話は次回に致しましょう。 私のお気に入りのお店のお話です。
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