大根の煮物

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「ハルさん、佐野さんからお手紙が来てますよ!北原さんとの文通、上手く言ってるみたいですー」 煮物で使った大根の皮を切っていると、葉子さんが外から戻ってきました。 「あら、それは良かったですねぇ。北原さんも、何事もなく退院できると良いですね」 「本当ですね。あと、また近い内に採れたてのお野菜も持ってきてくださるみたいです!」 葉子さんはそう言うと、手紙を封筒に戻してから、キッチンの側にある棚に置きました。 「それは楽しみですね。佐野さんのお野菜もとっても美味しいですから」 大根に続き、にんじんも細く切りました。 「今日は何作るんですか?」 葉子さんは、いつもそうやって嬉しそうに私が料理する手元を覗きにきます。 「大根の煮物と、大根の皮を使ったきんぴらです。大根の皮は厚く剥いてあるので、歯応えもあって美味しいんですよ」 「はぁー!すっかり冬メニューですねぇ。大根美味しそう・・・」 冷ましていた大根の鍋を見て、葉子さんが言いました。 「味見と言うことで、食べますか?」 私の言葉を待ってましたと言わんばかりに、足早にお皿を取りに行きました。 「ふふふっ。葉子さんはいつも美味しそうに食べてくれるから、私も嬉しいですよ」 柔らかい大根にお箸を入れた葉子さんに言いました。 「だって美味しいんですもん!いただきまーす!」 そう言って、大根を口に入れた時でした。 「こんにちは、ハルさん」 店の扉が開いて、入ってきたのは木ノ(きのした) 拓海(たくみ)さん。 以前、街へ行くときに利用した駅の、若い駅員さんです。
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