豚汁と鰆の塩焼き

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午前10時30分。 「あー・・・美味しい」 豚汁を食べる葉子さんの声が、食堂に響きます。 今日はとっても良いお天気。 冬の冷たい空気は健在ですが、雲ひとつ無い空は、見ているだけでワクワクしてしまいます。 キラキラと射し込むお日様の光に、窓際のポインセチアもいっそう鮮やかな赤色を見せてくれます。 私は食堂のドアに、前に葉子さんが作ってくださったクリスマスリースの飾りつけをしていました。 ぽんすけは足元で私を見上げるようにして、見守ってくれています。 「作りすぎちゃったから、おかわりしてくださっても構いませんよ」 「えーっ。じゃあもう一杯食べちゃおうかな」 そうは言っても、もう2杯は食べています。 そんなに喜んで召し上がって頂けるなんて、嬉しいことです。 「あと一杯だけっ」 葉子さんが上機嫌でお椀片手にキッチンに入ったときでした。 「こんにちは、お久しぶりです」 店先で作業をしていた私に声をかけてきたのは、北原(きたはら) 美香(みか)さんでした。 そしてその隣には、佐野(さの) 雅紀(まさき)さんの姿もありました。
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