1737人が本棚に入れています
本棚に追加
午後1時。
食後のお茶を飲み、一息ついた小田さんが席をたちました。
「ぽんすけのお散歩に行ってきます」
彼女はそう言うと、大喜びするぽんすけを連れて食堂を出ました。
小田さんが店を出て、タツ子さんとお喋りをしていると間もなくして、村から杖をついて白井さんがやって来ました。
「どうも、あけましておめでとうございます」
「まぁ、いらっしゃいませ。あけましておめでとうございます。中へどうぞ。葉子さん、お願いします」
キッチンで片付けをしていた葉子さんも、慌てて「はーい!」と、お茶の用意をし始めます。
「冬になるとさすがに膝が痛くて。杖が無いと歩けないなんてすっかりじいさんですな。歳を感じます、はははっ」
そう困ったように笑いながら、席へ腰掛けました。
白井さんは82歳。
普段は山へ山菜を取りに行ったり、畑の世話をしたりと十分元気な方です。
「白井さん、お食事はまだですか?おせちとお雑煮をお出しできますが、いかが致しましょうか」
「あぁ、そしたらお願いできますか。すみませんね、片付けも済んでいたのに」
白井さんが申し訳なさそうにそう言いました。
「大丈夫ですよ。それに一生懸命作りましたから、食べていただけると嬉しいです」
私がそう言うと白井さんは安心したように「そうか、そうか」と仰いました。
最初のコメントを投稿しよう!