人日の節句

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「これって食べられるんですねぇ。子供の頃によく見た気がします。大人になってからはあまり注意深く見なくなっちゃったから形すら忘れてました」 葉子さんがキッチンに入り、調理台に並べた七草のうちのナズナを手に取り眺めています。 ナズナはペンペン草とも呼ばれ、きっと写真を見れば思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか? シャミセン草とも呼ばれるその植物は、三味線のバチに似た果実が、白い小さな花の下に付いています。 夏頃になると、田んぼ近くの土手なんかに沢山生えているのですよ。 「どの植物も、栄養満点で体に良いんですよ。こんなに新鮮な状態の物を揃えるのは難しい事ですから、頑張って美味しい七草がゆにしましょうね」 「はい!全部揃った七草がゆなんて始めてですーっ」 「まずお米を洗って、今朝のうちにとっておいた出汁に浸けて頂けますか?その間に、葉物の七草は塩揉みして下茹で。かぶと大根は、洗ってから皮ごとスライスして茹でて下さい」 葉子さんは「まかせてください! 」と元気よく返事をして、お米の用意に取りかかりました。 私は、その他のおかずの用意を急ぎます。 七草がゆの他には、ほうれん草のお浸しと、ゴボウと大根などを使って、田舎味噌の豚汁を作ります。 七草がゆだけでなく、その他も旬の物を沢山味わって頂きたいと思っています。
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