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焼きタケノコ。八十八夜
「流石に雨が続くと、草も元気いっぱいねぇ」
裏庭の畑に、陽射しが降り注ぐ午前9時。
「ふぅ。今日はこれくらいにしましょう。歳ねぇ・・・」
軍手に付いた雑草を軽くはたいてから立ち上がり、腰を後ろに反らして伸びをする。
「あら、蝶々。綺麗ねぇ」
小さく可憐なモンキチョウがヒラヒラと、私が植えているトマトの周りを飛び回っています。
ジョウロを手に店に戻ろうとした時、裏口の扉の隙間から、ぽんすけの黒く湿った鼻先がちょんと出ているのが見えました。
「あら、何してるの?」
ドアを開けると、尻尾を降って食堂の方へと駆けていきました。
「ハルさーん」
「あら、いけない!お客さんかしら。呼びに来てくれたのね」
慌てて軍手を置いて靴を脱ぎ、入ってすぐの所にある洗面台で手を洗ってから、店へと戻りました。
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