焼きタケノコ。八十八夜

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食堂の玄関では、杖をついた白井さんが、戻ってきたぽんすけの頭を撫でているところでした。 「おはよう。悪いね、忙しかったかな。これ。今年も沢山採れたから持ってきたんだが」 床に置いていたビニール袋を、中が見えるように差し出してくださいました。 「まぁ、タケノコ!今年もまた立派なのが・・・頂いて宜しいのですか?」 「あぁ、構わんよ。食いきれないからお裾分けだ。また昼頃にもう一度来るから、その時に食事を頂けるかな?」 「えぇ、勿論です。御待ちしておりますね。わざわざ届けてくださって、本当にありがとうございます」 「いやいや。リハビリだから大丈夫だ。じゃあ、とりあえず失礼するよ。また後で」 そう言って店を出ていかれる白井さんに、深々と頭を下げてお見送りをしました。
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