タブラ・ラサは暴けない

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吟も一緒に小森を見つめている。 小森は一つ息をつき。 「アイツは駄目だ」 矢継ぎ早に 「どうして?」 「小森サンが好きだから駄目なの?」 咲也と吟は聞いた。 小森は言いよどみ。 「…アイツは聖域だ、誰にも冒せない聖域。」 「…」 「誰も冒せない、入り込めない、記憶がある。俺は知ってるが"エリダ"のメンバーも殆ど知らない」 「本人もその日の記憶をスポッと無くしてる。誰にも暴けないタブラ・ラサ」 「でも、確実に今日のアイツを形づくった記憶だ」 「…どんな記憶何ですか?小森サン、あんたは知ってるんだろ」声の震えとかすれが恥ずかしくて、好きな人の過去を知るチャンスに怯える。 「…最愛の妻と娘を暴走したAIをのせた人形ロボットに惨殺された事だ」 ーーーボスの秘密。好きな人の秘密は、愛する人を殺された事を忘れた事。確かに誰も暴けない、冒せない、彼のタブラ・ラサ。聖域。 (了)
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