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 ルーク聖人の傀儡となったロボット人間たちは2、3体ずつが呼び合うように融合してひと塊の何かに変化してゆく。人の形であったものがふたつ、みっつくっつき合ってひとつとなり、ぐらぐらと表面を揺らしながら次第に形を整えてゆくと、そこには体長5、6mのロボット怪獣とでも言うような異形が5体現れていた。四つん這いに這い、虎と鶏が合わさったような頭、身体にはロボットのような金属部分や甲冑のような意匠も見られる。  咆哮するロボット怪獣を脇目に30代男が不敵に笑う。 「このロボット怪獣はこれ以上巨大化こそ出来ないが、トンネルを破壊するくらいの力は持っているのだよ。網の目のように広がるトンネルを地下から崩壊させ、東京を壊滅させてあげよう」  ロボット怪獣は3番線と4番線の上り線、下り線に分かれて不敵に走り去ってゆく。でかい図体の割には敏捷だ。 「そんな事はさせないわ!」  多香子はガンをホルスターに収めると、ポケットから何かを取り出した。  広げた掌の上にあるものは、水晶のような結晶と、金属質が融合したような立方体だった。 「行って、ウィンガー!」  多香子の声を合図と聞いて、結晶立方体がぱたぱたと折り紙が開いてゆくように展開し、宙を舞ったかと思うとロボット犬となって地面に降り立った。  眼光は狼のように鋭く、立方体と同じくその姿は半分が半透明の結晶のようで、半分がロボットであった。  ウィンガーと呼ばれたロボット犬は一声唸りを上げると、4番線の下り方面のトンネルへ駆け込んで行った。  トンネルを破壊しつつ進むロボット怪獣は、背後に迫る何者かの気配を感じて立ち止まった。早い。ロボット怪獣の回避行動の限界を越えて突っ走ってきたウィンガーは、そのままロボット怪獣の腹に突進し、大きな穴を開けて立ち止まった。  ただ一撃でロボット怪獣は沈黙し、数秒後にがっくりと倒れた。銀河一とも言われるウィンガーの敏捷性とパワーがロボット怪獣の装甲の強度を上回っていたのだ。怪獣の最後を見届けるとウィンガーは踵を返し、走り戻ってゆく。  池袋駅に戻ったウィンガーは、ホームへは上がらずそのまま上り方面へと走り去った。  上り方面のトンネルには2体のロボット怪獣がいた。1体が、ウィンガーが到達するより前に気付き、ウィンガーに向かってぱっくりと腹を開けた。
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