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多香子はそれを華麗な体捌きで避けつつ、再び腰のホルスターからガンを抜いて、続けざまに発射する。1体、2体とビームが命中したルーク星人がめらめらと青白い炎に包まれて燃え尽きてゆく。
そこへウィンガーが戻ってきた。多香子を攻撃するルーク星人たちに向かって唸りを上げて襲いかかろうとする。
「だめ、先に残っているロボット怪獣を倒して!」
ウィンガーは、くーん、とひと声鳴いて迷うように一瞬後退ってから、意を決したように3番線のトンネルに走り込んでいった。
ウィンガーを視界の端に捉えて見送りつつ、多香子は柱の影に転がり込んで星人の攻撃をかわした。絶える事なく放たれる七色光線に用心しつつ、ホームの様子をうかがう。ホームには改札階へ逃げ遅れた客が数人、まだいた。怪我をしているようでうめき声を上げつつ、動けないでいる者、震えながら頭を抱え込んでうずくまっている者。今はまだ何とか無事だが、先ほどからの攻撃で損壊している天井が、いつ崩落するとも限らない。早く客たちを安全な場所に避難させなくては。
その時、多香子の脳にウィンガーが3番線の最後のロボット怪獣を、胴を真っ二つに切り裂いて勝利する映像が届いた。
「また切っちゃったの? まあね、八つ裂きブーメランはカッコいいからけっこう私も好きなんだけどね。今は切っちゃダメって事になってるんだよ」
言いつつ多香子は柱の陰からルーク星人を狙い撃つ。2体、3体、4体。続けざまに命中し、中空に人魂のような青白い炎を上げて消えてゆくルーク星人。
「よし。戻っておいで、ウィンガー!」
光の筋が多香子の掌に走り込み、キューブ状の結晶に戻った。結晶エイドの中の支援クリーチャーは、地球上では活動出来る時間に制限がある。
無事に戻れて良かったね、ウィンガー。
「よくも我々のトンネル破壊作戦をじゃましてくれたな、クリスタルセブン!」
「え? いつそんな作戦名が付いたの?」
「・・・こうなったら、透明偽装して成層圏に待機している我々の円盤軍を呼び寄せ、全面攻撃を開始してやる!」
スルーか?・・・
多香子は隊員用にカスタマイズされた腕時計型スマートフォンの画面を開いた。本部に回線を開き、
「隊長、こちら多香子です」
テレビ電話の画面に40代前半くらいの男性の顔が映った。
「何!」
「クリヤマ隊長、まだ何も言ってません」
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