序 夢の翼に乗って

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序 夢の翼に乗って

 ネジを巻く。  オルゴールが鳴る。  踊り子が踊る。  夢の舞台の幕が開く。  ここは、どこ?  私は、だあれ?  霧に濡れる地を蹴って、  ランプに滲む街を発ち、  翼を広げて舞い上がる。   遥か、はるか、高みまで。  雲を抜けて、陽をあびて。  空の、空の果てまでも。  ネジを巻く。  魅惑の響きが私を包む。  ネジを巻く。  過去と未来が踊りだす。  向かうのは、どこ?  望みは、なあに?  うつつが霞み、街は消え、  密林の奥に桃源が揺らぎ、  見知らぬ国が扉を開く。  期待に胸は鼓を鳴らし、  高まる鼓動は彼の地へ急ぐ。  早く、もっと早く、と。  果てしない、はてしない、  私だけの刻(とき)が始まる。
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