零章 side[AI]

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 この世界には六つの性別がある。  男と女。  そして、それぞれにα、β、Ωと分かれている。  多くはβで、簡単に言えば普通の人間だ。  次にα。  社会的地位も高く、有能。  そして、Ω。  一定期間で発情期が訪れてフェロモンを撒き散らし、α、βなら誰彼構わず誘惑する。  男も妊娠する事が出来て、その厄介な体質から社会的地位は低い。  オレはαの両親から産まれたα性。  代々由緒正しいαの家系で、裕福に何不自由なく育てられた。  将来はαの妻を娶り、家を継いで立派な後継者になる。  ……そのはずだった。  今日、たまたま買い物に出掛けた街中でコイツに会うまでは。  運命の番という都市伝説みたいな話がある。  元々、αとΩには番という婚姻のような関係があって、発情期のΩとの性交中にαが項を噛むことで成立する。  番になるとΩは番にしかフェロモンを出さなくなる。  αも番だけにしか反応しなくなる。  社会的地位の低いΩは発情すると誘惑してしまうため、望まない相手に犯され噛まれてしまうこともある。  それを予防する為に、簡単には切れない首輪をし発情を抑える薬を飲む。  しかし、運命の番に出会うと互いに惹かれずにはいられなくなる。  離れられなくなる。  例え、その時に違うパートナーがいても別れて運命の番を選ぶ。  それ程までに強烈なのだ。  Ωという存在は。
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