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気がつくと薬を持った腕を掴んでソイツを押し倒していた。
ソイツの手から薬が落ちて、車内のあちこちに散らばっていく。
犯してやろうと本気で思っていた。
運命なんだから仕方ないと自分に言い聞かせて、本能のままにコイツを孕ませてやろうと。
押し倒したソイツが身体を小さく震えさせているのに気が付いて躊躇した。
ほんの少しだけ残っていた理性がオレを止めた。
「ごめ……なさい……許して……噛まないで」
消え入りそうな声で何度も同じ台詞を繰り返すソイツに、苛立ちを覚えた。
何で謝るんだ。何で脅えるんだ。
オレとお前は運命の番なのに。
「……噛んだりしない」
散らばった薬を拾いながらソイツを見ないようにして言った。
「無理やり犯したりしない……大丈夫だから、早く飲め」
拾った薬を手渡して背中を向けた。
本当は限界ギリギリでオレの下半身は本能に抗えずに反応したままだ。
それでも自分の手を噛んで我慢した。力加減が調節出来なくて噛んだ場所から血が滲んだ。
今はその痛みを感じる事で欲望を紛らわすしか出来ない。
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