プロローグ

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第一生命ホール。 12歳には広すぎるようなホールで、静寂に包まれる中、その子は少し俯き加減でステージに上がる。 椅子に座り、ペダルに足を乗せ、両手を鍵盤の上に添えて目を瞑る。 だが、その次の瞬間、彼は一変し、鍵盤の上で指を踊らせる彼はまるで別人だった。 その音色に皆魅了され、スタンディングオベーションが巻き起こる。 俺は彼の音色に圧倒され、オーストリアへと飛ぶことを決意した。 将来、その男の子との再会を夢見て。 しかし、それ以来、ステージ上で俺が彼を見ることはなかった……。
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