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「紬とCD作りたいなって思ってるんだよ」
「ーーーえ?」
突然の発言にぽかんと口を広げて間抜けな表情になってしまう。
しかしそんなことはどうでもいい。それより伊織さんの発言だ。
「ど、どういうことですか?
いえで2人で弾くのじゃダメなんですか?」
そのためにもう一台、紬用にと伊織さんが新しいピアノを購入してくれたのではないのか。
しかし、彼にとってはそれとこれとは話は別。
自分の恋人である知られざる天才ピアニストと一緒にCDを出し、自分達の音色を他の人に聞かせたい。
そして、自分の恋人はこんなにも最高だと自慢したい、という下心も含まれていた。
紬はそんな事情は知らないが、どうして素人の自分なんかとCDを出したいというのか不思議でならなかった。
「え、伊織さんわかってますか?
僕、単なる素人のしがない調律師ですよ?CDなんてめっそうもない」
ははは、冗談きついですよ、と布団を被ろうとすると突然掛け布団を奪われ、伊織さんが僕の上に覆いかぶさっていた。
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