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しかし、僕も譲るつもりはない。
結局声が掠れて出なくなるまで啼いたが、気持ちは変わらなかった。
「僕のCD話はいいんです。伊織さんは仕事に行きますよ」
掠れた声で精一杯反論するが、伊織さんはニヤニヤして「はーい」と間抜けな返事をした。
「まあ、いずれ絶対紬の気持ちを変えてみせるよ。
俺と一緒に弾きたいと、言うようになる」
「は…?」
上から目線にも程がある発言に返す言葉もなくぽかんと彼を見つめる。
何を言っているんだ。弾きたいと言ったのは伊織さんの方なのに。
しかもその自信がどこから出てくるのか不思議に思いながら、僕は彼のお皿を片した。
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