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気合いを入れてご飯を作り終わった頃、彼からメッセージが届いていた。
『今夜、少し遅くなりそうだから先に寝ておいてくれ』
「またか…」
しかし、早く帰ってこい、なんて言えず、「頑張ってください」とメッセージを送ってからとぼとぼとバスルームに向かった。
シャワーを浴びて眠気が襲っては来るものの広いベッドで1人で寝るのは耐えられず、ピアノのある部屋の大きなソファで横になった。
ここなら、大好きなピアノがピアノが側にあって寂しさを少しは紛らわすことができた。
「ーーーむぎ、紬」
「ん…、」
体を揺すられ、重い瞼を開くとそこには久しぶりに顔を合わせる伊織さんの姿があった。
「こんなところで寝たら、風邪を引く。
ベッドで寝なさい」
「……連れてって…」
「仕方ないなぁ」
そういって彼の首に腕を回そうとした時、フワッと鼻を掠めた甘ったるい匂いに眉を顰め、僕は彼の胸を押し返した。
どうしたのかと首をかしげる彼を、僕は睨んだ。
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