SS2『重なる音、寄り添う心』

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「……紬?…寝たのか?」 「……」 伊織さんが囁くように声をかけてくるが、僕は返事をしない。 寝たからってなんなんだ。 僕は苛立ってるんだ。 …でも、どうしてイライラしてるんだ? 狸寝入りの僕は悶々と考えてしまう。 その隙に伊織さんが僕のすぐ隣に身体を滑り込ませてきて、肌と肌が少し触れて、離れた。 「…怒ってる、んだよな?」 僕の頭を大きな手で優しく撫でる。 その手で彼女と握手してた。 そんな優しい風に彼女の頭も撫でるのか。 なにを根拠にこんなことを考えているのか自分でもさっぱりだが、苛立ちは増すばかりだ。
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