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「……紬?…寝たのか?」
「……」
伊織さんが囁くように声をかけてくるが、僕は返事をしない。
寝たからってなんなんだ。
僕は苛立ってるんだ。
…でも、どうしてイライラしてるんだ?
狸寝入りの僕は悶々と考えてしまう。
その隙に伊織さんが僕のすぐ隣に身体を滑り込ませてきて、肌と肌が少し触れて、離れた。
「…怒ってる、んだよな?」
僕の頭を大きな手で優しく撫でる。
その手で彼女と握手してた。
そんな優しい風に彼女の頭も撫でるのか。
なにを根拠にこんなことを考えているのか自分でもさっぱりだが、苛立ちは増すばかりだ。
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