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「……」
頑なに反応せず、目を瞑ったままの僕には、背後で彼が何をしているか分からない。
だが、もぞもぞと僕に近づいてくると腰にするりと何かが巻きついてきた。
それが彼の腕だと認識するのに時間はほとんど要さない。
耳を掠める彼の吐息が、身体を包む彼の温もりが、いつもならばとんでもなく嬉しくてドキドキするのに今日の僕にはただただ不快だった。
「…紬、本当に寝てるのか?」
「…離れて、ください」
ぼそりと呟くと、伊織さんは僕の言葉とは裏腹に、更に僕の体を引き寄せた。
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