相手

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「いや、ちょっと!本当にすみません!頭きてリミッター外れて力いっぱい叩いちゃった!初対面なのにっ!!ごめんなさいっ!」 私は立ったままバッグの中をガサガサ探していると、城崎さんが声をかけてきた。 「おい、姉」 「は?姉?」 私は持っていたバッグに右手を突っ込んだまま、城崎さんに向かって顔を上げた。 「……口の中、切ったぞ……どうしてくれる……それに俺は病院の『イケメンドクター』として、来週雑誌の取材がある……そんな俺の顔を叩くとは、あんた、イイ度胸してんな」 城崎さんはそう言って、親指で口から垂れた血を拭い、親指についた血を舐め取った。 その姿に、私の全身から血の気が引いた。 「……すっ……すみません……」 私は震えながら涙目で、小さく謝った。 そんな私の姿に、城崎さんは口角を上げて私を見下し、私を覆い隠すようにして、左手を私の背中にある扉につけ言ってきた。 「妹に貢いだ500万円は、今回の取材で取り戻すことが出来たのに、あんたに叩かれた頬と切った口の中の具合から見ても、青アザになるのは必須……青アザある顔で取材なんて無理だろうし、取材を断るのは大きな損失なんだよな……俺としても、病院側にとっても……どうしてくれんの?」 私はすぐに土下座した。 「ひぃぃっ!すみませんっ!!ごめんなさいっ!!謝っても許して貰えないと思いますが、許して下さいっっ!フリーターなんでお金はすぐに返せませんが、てか、返さないけど!!叩いてしまった償いは、なんでもしますからっ!許して下さいっ!」 頭を上げることが出来なかった私。
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