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私が顔も上げず、両手をついてひたすら謝っていると、城崎さんがしゃがみこんで、私の顎をつかんで持ち上げた。
「いたっ!」
強めの力で上に向かされたので、首が痛くなった。
「本当に、なんでもするんだな?」
城崎さんが睨みながら私に言ってきたので、私は軽くうなずき、城崎さんに言った。
「しっ、します!しますから!あ、お金は返せませんよ?夕飯作るとか、買い出しとか、洗濯とか!?」
「お前は家政婦か…」
「家政婦っ!家政婦します!!高校卒業してからずっとフリーターしていて、清掃員経験済みです!!自給850円で働いて掃除のスキルはかなり高めですっ!いかがですか!?床を這う可愛い掃除ロボットのように一生懸命お部屋ピカピカにします!!」
「……いらん。俺が今欲しいのは、『癒し』だな」
「…………は?」
私は『何言ってんの?コイツ』って表情で城崎さんを見ていると、城崎さんは、それはそれは悪代官様のような顔付きになり、両手で私の顔を包み込むようにして、とんでもないことを言ってきた。
「おい、お前が俺のこの顔に傷をつけた代償として、俺が500万円稼ぐその日まで、お前、俺の『ペット』になれ!」
「……は?今なんて仰いました?」
清々しく笑い、彼は本当に整って笑った。
「お前は、今日から俺の“ペット”」
私が彼を思いっきり叩いてしまったせいで、彼の脳に若干障害をもたらしてしまったみたいです……。
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