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「あの、すみません…『華の間』って場所を探しているんですが、どちらになりますでしょうか?」
フロントの男性はパソコンで何かを打ち始めた。
「失礼ですが、お名前を御伺いしても宜しいでしょうか?」
私は自分の名前ではなく、妹の名前を言った。
「あ、神谷 美緒です」
私が名前を言うと、フロントの男性がパソコンに何かを打ち込み始めた。
カタ、カタ、カタ……カチカチ
「はい、神谷様、ご確認できました。これから案内の者を御呼び致しますので、少々御待ちいただけますでしょうか?」
「あ、はい…よろしくお願いいたします」
私は軽く頭を下げてお礼を言うと、すぐに案内してくれるスーツ姿の女性が現れた。
「神谷様、お待たせ致しました。御荷物はフロントでお預かり致しておりますが、いかがされますか?」
「それじゃ、このキャリーバックだけ預けて良いですか?」
私が聞くと、スーツ姿の従業員の女性は私のキャリーバックをフロントの中へと持ち運び、番号札を持って私の前まで戻ってくると、手にしていた番号札を私に手渡してくれた。
「此方の番号札でお預かり致しておりますので、お帰りの際、フロントにお出しくださいませ」
そう言って頭を下げてきた。
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