第2章 キュットとバウクの長い夜

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  『なんだか結婚式みたい。』 私は頬を朱に染めて、ひょうたんをバウクに渡す。 バウクはひょうたんを受け取ると、もう一口お酒を呑んでからラエさんに投げ返した。 「誓いの契りは絶対だべ。 2人とも忘れるでないだべ。」 ラエさんはそう言い残すと、部屋へと入っていった。 再び訪れる静寂。 どちらからともなく手を握る。 バウクの温もりが手を伝って伝わってくる。 「さぁ、明日は早い。 少しは寝ておかないとな。」 月を眺めながらバウクは言う。 私を見ないのは照れているからだ。 「そうだね。」 私はバウクの手を引いて屋敷へと歩き出す。 「俺はもっと強くなるぜ。」 バウクが呟いた。 「うん。」 振り返らずに頷く私。 私たちは皆の居る床の間へと歩いていった。
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