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胸に手をあて、頭を垂れて祈るように彼女に願う。
「ヴィヴィアン。
ヴィヴィアン・ローゼンハイム。
私は貴女に、正式に結婚を申し込む。
貴女を__
愛しています」
………………沈黙。
「エ?」
がくっ。ラルスは膝から腕を滑らせた。
「え、って何だよ、『エ』って。何だったんだよさっきの間は!」
「だ、だって!あまりにいきなりで…急にそんなこと言われても、何が何だかさっぱり」
「くそ、もう少し格好よく決めるはずだったのに!」
呆然とするヴィヴィアンに、悔しがるラルス。
「だって私、てっきりラルス様に嫌われたんだと…ばっか…り」
ヴィヴィアンの声がにわかに震え始めていた。
それに気づいた彼は、仕切り直しとばかりに咳払いをし、再び姿勢を改めた。
ヴィヴィアンを見上げ、瞳の奥を真っ直ぐ見つめる。
「そんな下らないことで、俺が君を嫌いになるわけないだろう?
結局こんなのになっちまったが…気持ちはだけは本物だから。
だから、ヴィヴィアン頼む。
どうか返事をくれないか」
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