再会

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再会

 大陸は北の大国、リンデル。  王都、リンデンバウムは繁栄を極め、大陸一の(みやこ)として栄えていた。  扇状に拡がる賑やかな城下町、その中心には、別名『水晶の城』と讃えらる美しい王城。  そしてそれを守護しているのは『黒薔薇騎士団』。  流しの吟遊詩人たちが大陸最強と謳う王都の守護神は、この国に住む少年ならば誰もが憧れ、小さな手に剣を取って、いつかはと目指す狭き門だ。  そして、その頂点に立つのは国内最強の男。  王宮騎士団長のラルス=フォン・グナイゼナウは誰もが畏れ憧れる、大戦の若き英雄だった。  その戦績は近隣諸国にまで知れ渡り、大陸で彼の名を知らない者はいないほど。 しかも、彼の名声はそれだけではない。  戦場を颯爽と駆け抜ける彼の、凛々しくも美しい絵姿は当然、数多(あまた)の婦人をも虜にした。  だが、そんな地位、名声を手にし、公私ともに充実している彼にさえ、厄日というものはあるようだ。  しかもそれが今日、王と王妃の揃った公式の場で起こり、かつ、顎を外した間抜け面を衆目の前に晒すとは、  彼自身、夢にも思わなかったに違いない____
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