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「ムガー、モガー!」
「それに、『帰れ』だと?
この俺に向かって。ショックで一瞬死にそうになったじゃねえか」
「ム、ぐ…?」
抵抗の力が弱まって、ラルスはヴィヴィの拘束を解いた。
ベッドに腰を下ろすと、ヴィヴィアンの向きをクルリと変え、向かい合わせに座らせる。
「泣いていたのか?目の周りが真っ赤だぞ」
頬を掌で包みこむ。濡れたように揺れる瞳は、彼こそ泣いているようだ。
ヴィヴィは素直に頷いた。
「どうした、一体何があった」
ラルスに優しく頭を撫でられ、ヴィヴィは子どもみたいな泣きべそをかきはじめた。
ラルス様は、ズルい。
怒ったかと思ったら、すぐに優しい顔をしてみせる。こんな時に優しくされると、枯れたと思っていた涙が、再び溢れ出す。
ヴィヴィは辿々しく話し出した。
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