22 愛の巣

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 ヴィヴィは、その先を言うことができなかった。  ラルスの大きな腕の中に、閉じ込められてしまったから。 「そんな訳ないだろう。  くそっ、俺がもっと早く告げていれば」 「ラ、ラルス様くるひ…一体何を、ひゃっ」  彼はさらにヴィヴィをきつく抱き締めた。  腕が、声が震えている。 「ラルス様?」  ラルスは、大人しくなったヴィヴィアンをそっと離すと、照れくさそうにはにかんだ。 「俺がもたついてたばっかりに…  とうとう君を泣かせてしまった。  今さらなんと言えばいいか、分からなくて。  ヴィヴィアン。  一緒に、ローゼンに帰ろう」 「え?」 「アルベリヒ様の墓標(ところ)にも、もうだいぶ帰っていない。お詫びをしなくてはな」 「ラルス様?何を言ってるんです、そんなの無理に決まってるじゃないですか。ローゼンには叔父様がいるし、ラルス様には騎士のお仕事だって」  ヴィヴィには、全くわけがわからない。  一体、どうしてしまったのかと、目を白黒させるばかりだ。 「ああ、いけない。順序が逆だったな。  つい先走ってしまって」  今のラルスに、普段の冷静さはひとつもない。  慌ててベッドから下りると、ヴィヴィの前に膝を折った。
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