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2.出逢いから…
平成27年1月
私は新しく就職した会社の研修1日目を迎えていた。
慣れないスーツに身を包み、若干緊張しながら、駅から会社が入っているビルまでの道のりを、慣れないハイヒールで歩いていた。
今まで働いていた仕事とは全く違う『営業』という職種にも、緊張していた。
なぜこんな事になったのか。
一言で言えば、「家計を支えるため」だった。
我が家は5人家族で、私、旦那さん、6歳、4歳、1歳の子どもたちがいた。
当時31歳の私より一つ上の旦那さんは、以前勤めていた私の父の会社が倒産してから、ことごとく転職に失敗し、情緒不安定になり、仕事も家庭も私に頼りきりになっていた。
一応就職はしていたが、一家の大黒柱としては到底足りず、しかし、私の父の事業の失敗で彼の人生を変えてしまったという負い目が私の中にあった事から、彼に対して文句も言えず、家計を支えるため、
働いていた事務職を辞めて、より稼ぎが増えるように保険会社に転職したのだった。
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