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「今、何時?」
「只今ノ時刻ハ、9時34分33秒デス」
「えっ……!!」
慌ててタロウの顔を押す。顔に表示された時刻は、確かにタロウの知らせた時刻だった。夢の中で、詩人ぶっていた自分を殴りたい。急いで着替えに取り掛かる。
今日は、大事な初デートの日なのに……
パジャマをベッドの上に放り投げる。待ち合わせ時間には間に合うものの、かなり急いで準備せねば。
はぁ……もっと時間に余裕を持ちたかった……夢の中の僕みたいに。
「健太サン」
「何?」
「ボクハ、健太サンガ、心配デス」
「そう?」
「ダカラ、一緒ニ、デート行キマス」
「は? ……痛っ……!」
いきなり動いたら、左足の小指をテーブルの足にぶつけた。蹲る僕。それを見て、タロウは黄色に光りながら笑った。
僕は、ぶすっとしながらテレビをつけた。
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