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「よし分かった。お前、ちょっと俺の家来い」  嫌です。 「四の五の言わず来い」  嫌です。 「お前に決定権はねぇよ。嫌なら戦って俺を殺せよ」  嫌です。私は平和を愛する触手ですから。 「平和を愛するモンスターなんか居るかよ。ここに居てもお前、同じことの繰り返しだぞ」  そうかもしれません。人里離れたこんな山奥だというのに、1日に2人もの人間と遭遇してしまったのですから。 「俺も夜にモンスターに出くわすつもりはないけどな。けどお前には興味がある。・・・別に、見世物として出すとかどっかの王様のところに売るとかそういうつもりはねぇよ」  そんな事を言いながら私の触手の先を引っ張るの、やめてください。 「いや、気になるだろ。・・・光合成ってことは、葉が必要だよな?けど今のお前には葉がない。・・・どこに片付けたんだ?」  それは言えません。 「普通に考えれば触手の中だよな。先っぽか?」  引っ張らないでください。葉は出しませんよ。もう日が沈んだので店じまいです。 「じゃあ明日の朝か」  ちらりとラックは上空へと目を向けました。私は見上げなくても分かります。既に空に藍色が広がり始めていることくらいは。
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