月の花
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月の花
*** 彼女の白い手が、青年の落とした文庫本を丁寧に拾い上げる。 「どうぞ、中へお入りになって下さい。そこでは濡れてしまいますから」 大学からの帰り道、突然降り出した雨。 慌てて身を寄せた店舗の軒下で、青年は彼女に出逢った。 町外れにひっそりと佇む、小さなフラワーショップ。 そこで見つけた、清楚で美しい花。 青年は一目で、その花の虜となってしまった。
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