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(あぁ、やっと……楽になれる……)
そう思った瞬間、誰かに腕を捕まれた。
ハッとしてアキトが見上げた先には、逆光でも安易に識別できるほど親しい友人の……見たことのない顔。
「なにやってんの!!
アキちゃん!!」
身を乗り出して、アキトの腕をつかんでいるサツキは、必死に声を掛けた。
今にも泣きそうで、それでも怒っているようで、何とも言えない顔でアキトを見ている。
「……あーぁ、なんでサツキちゃん見つけちゃうかな」
宙にぶら下がったまま、眉を下げて笑うとため息をついて続けた。
「サツキちゃんも落ちちゃう。
だから、離して?」
「何いってんの?!
バカなことしてんじゃないわよ!!」
「サツキちゃんには……分からないよ……」
「……っ、わかってるわよ……
アキちゃんに魔力がなくて、苦労してるの……ずっと見てたから分かってるわよ!!」
「なら、もう楽にさせてよ……
やるだけやった、誰よりも努力し続けた!!
でもっ……魔力のない私じゃ、みんなみたいなパフォーマンスはできない!!」
見上げた瞳は、涙で溢れ返っていた。
尚も、アキトはサツキに思いの丈をぶつける。
「どんなに頑張っても、みんなに先を越されてく……私には、なんの力もない!!だから……」
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