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そう話している間にも、サツキの体は、ずるずると下へと引きずられていく。
木のつるを掴んでいた手に、血がにじみ始めていた。
「アキ……ちゃんっ、お願い、考え直してっ……」
「サツキちゃん……、……今まで、ありがとう……」
必死に声を引き留めてくれている親友の手を、もう片方の手を使い離した。
サツキまで巻き沿いにするわけにはいかない。
体が風をきって落下していく。
「アキちゃあぁああんっ!!」
体が回転し、重みのある頭が下を向いた。
絶叫するサツキの声が聞こえる。
最後に、親友の声が聞けて幸せだったと思いながら、アキトはその体を崖の下へと委ねていったのだった。
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