1 始まりは災難より

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そう話している間にも、サツキの体は、ずるずると下へと引きずられていく。 木のつるを掴んでいた手に、血がにじみ始めていた。 「アキ……ちゃんっ、お願い、考え直してっ……」 「サツキちゃん……、……今まで、ありがとう……」 必死に声を引き留めてくれている親友の手を、もう片方の手を使い離した。 サツキまで巻き沿いにするわけにはいかない。 体が風をきって落下していく。 「アキちゃあぁああんっ!!」 体が回転し、重みのある頭が下を向いた。 絶叫するサツキの声が聞こえる。 最後に、親友の声が聞けて幸せだったと思いながら、アキトはその体を崖の下へと委ねていったのだった。
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