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体がきしむ。
光の眩しさに、アキトは瞳を開いた。
「あれ……天国って、案外いつもの世界と変わらないんだな……」
ぼんやり呟くと、頬に衝撃が走る。
そして、怒鳴り声。
鼓膜が破れるかと思うほどの大きさで、驚いた。
「アキちゃん!!
もうっ、心配したんだから!!」
「え、私、死んだんじゃ……」
「区長よ……区長が、助けてくれたの」
「区……長……?」
区長とは、この世界を六つの区域に分け、各区間を納める長のことだ。
寝そべったまま、足音がした方を向くと一人の青年が現れた。
「俺の区域で、自殺志願は御免なんだが?」
あきれた顔の青年。
トキ。
彼が、アキトたちの住んでいる区域の区長。
「どうして、区長が??」
見慣れない部屋に、三人。
体を動かせないまま、アキトが呟いた。
この出会いが、大きな冒険への始まりだった。
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