1 サンタクロースが降ってくる町

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「五年ほど前の、幻想生物サミットで」 「幻想生物サミット? なにそれ」  峯田はきょとんとしているが、蚊鳴屋は心当たりがあるらしく、うんうんと頷いた。 「妖怪とか妖精とか、世界中の人間以外の生物が集まる会合だ。四年ごとにあちこちでやってる。五年前は京都で行われた。サンタだって半分幻想生物だからな」 「五年前か。ぼくちょうどフランスにいたときだね」 「俺が日本の出身だったこともあって、下っ端でしたが案内役として一緒に来たんです。そこで……」  サンタが浮葉を見て、二人はしばし見つめ合った。そこに複雑な感情があることを峯田は感じた。 「そこで、サンタさんが何かを貸したんだね。でも、フィンランドから持ってきたんだから、そんなに大きなものじゃないよね? しかも初対面の人に貸せるものだから……本とか?」 「覚えはないな」  浮葉は言い捨てる。  新春で混雑した店内にはどんどん客が入ってくる。四人はすでにきつねうどんを食べ終わっていた。浮葉が黙って立ち上がった。蚊鳴屋、峯田もそれに続く。  浮葉が会計を終わらせて店を出ると、サンタが申し訳なさそうにもじもじしている。 「あの、すみません……。日本円をもってなくて……」 「構わない」     
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