1 サンタクロースが降ってくる町

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「どこかで両替できたら払います」 「うどんの一杯くらい、気にしなくていい」  浮葉は優しく笑って言った。 「そうそう、サンタさん、べつに気にしなくていいよ。お年玉と思っておごってもらおうよ」  何故か峯田がサンタの肩を叩いて言う。そして蚊鳴屋の車まで促した。 「すみません、よろしくお願いします」 「いえ」  サンタが申し訳なさそうに言うが、蚊鳴屋は優しく微笑んだ。 「気にしないで。ぼくたち、困ってる幻想生物を助けるのが大好きだからさ」 *  京都の、浮葉の住むマンションの前で浮葉、サンタ、峯田が降りた。蚊鳴屋はこのまま自宅に帰るらしい。 「って、なんでお前まで降りるんだ」  浮葉が訊くと、 「帯刀んち、今お兄さん夫婦と両親が帰ってきてるんだ。だからぼくは年末からずっと麦の家にいるんだけど、麦もいなくて、ひとりだと暇だから」  麦、とは浜麦という名前のきつねの妖怪のことである。普段は人間に化けて大学生をしている精悍な若者で、いろいろあって先日から峯田とねんごろな関係になった。さぞ、ラブラブな年末年始を過ごしているのかと思ったが。 「なんだ、麦くんは実家か?」     
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