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答えたのは浮葉だった。峯田が手際よくポットを用意し、ウォーターサーバーからお湯を注ぐ。いくつか予備のボトルが脇に置いてあった。
浮葉はサンタを呼ぶと、
「一応、本棚を見てみるか? あのときと違うものがあったら思い出すかも」
「覚えてないと思うけど……」
小声で話ながら、二人で別室に入った。
「っていうか、むしろパワーアップしてないか……」
二人が入ったのは、四辺がすべて、天井まで本棚になっている部屋だった。
「あのときは、いくつか空の棚があった気がしたけど……」
「そりゃあ、五年もあれば増えるさ。漫画系はだいたい処分して電子に切り替えたけど」
「サンタさん、過去にもここに来たことがあるの?」
「「わっ」」
完全に気配を感じなかった。後ろからひょいっと顔をのぞかせた峯田を見て、二人は驚く。
「聞いてたのか。悪趣味だな」
「あ、隠し事だった?」
「そういうわけじゃない」
「ふうん、でもすごく珍しいことに思えるな、浮葉が他人を……初対面の人を家に上げるなんてさ」
峯田はあくまでふと思ったことのように言う。
「それくらい親しいなら、何か貸し借りもするかもね」
そう言って、そろそろ紅茶が入るよ、と言ってキッチンに戻った。
「……まあ、あとでゆっくり見ればいい」
「……はい」
二人もリビングに戻った。
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