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「でも、サンタさんが持って、浮葉に貸すとしたら外国語の本だよね? 日本語の本ならいくらでも日本で買えばいいんだしさ。洋書とか持ってないの?」
「洋書は、図鑑以外は帯刀のところで買った絵本しかないぞ。全部自分で買ったものだ」
「ぼくが仕入れたやつだね」
古本屋の「蚊鳴屋」は、基本的には日本語の古書を扱う本屋だが、峯田が外国語が少しわかるので、ためしに英語、フランス語の本を仕入れてみたことがある。そこで浮葉が気にいったものをいくつか買ったようだった。ただ、どの本もどこで買ったかなんてきちんと覚えていないように、本当に蚊鳴屋で買ったかなどはあいまいである。
ためしに、浮葉がいくつか本を持ってきた。長く自宅にあるが、本当に自分で買ったかあいまいなものを。
サンタはそれをじっと見てはいるが、しばらく見て力なく首を振った。
「すみません……」
「謝る必要ないよ、まだ、落っこちたショックで思い出せないだけかもしれないしさ」
峯田が励ます。
「でも、いつまでもここにいるわけにはいきませんし」
「うーん、帯刀んちはまだご両親とお兄さんがいるし、麦んちに来てもらうわけにもいかないしな……」
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