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「福袋ばっかりで大丈夫? 福袋で出たものを着せただけの、個性のないサンタが出来上がるんじゃない? せっかくイケメンなんだから、浮葉の好みの感じにしてあげてよ。まあ、浮葉が買う服のブランドだから、そうへんなことにはならないと思うけど、サンタさんも、もっと自己主張したほうがいいよ」
峯田が意見したので、浮葉がサンタにはかせたい下着をいくつか選び、サンタは恐縮している。
一通り買い物を終えたところで、峯田とサンタの両手がいっぱいになった。浮葉がふと奥にある喫茶店を見た。
「……食べるか?」
ちょうど、紳士服フロアに抹茶パフェの店が入っている。普段から行列ができている店だが、夕食前のポケット時間のせいか、それほど並ばなくても入れそうだ。さすがに、峯田がただの荷物持ちでしかないことに罪悪感を覚えたのか浮葉が申し出ると峯田はきゃるんと笑って店に向かう。店員に名前を告げて、片付けますので少しお待ちください、と言われたので、浮葉とサンタのいる場所に戻って来た。
「そういえば、サンタさんってどこに住むの? 一人暮らし?」
「そうだな……まあ、家具付きのウィークリーマンションでいいだろ。それならうちで面倒を見ていて空いてるのがいくつか……」
ふと、少し先を歩いていた峯田と、浮葉のすぐ後ろを歩いていたサンタが足を止めた。
「危ない!!」
サンタが浮葉の顔の横に手を伸ばし、その瞬間、パンッと乾いた音が鳴った。
「……」
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