1 サンタクロースが降ってくる町

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 浮葉は、体内に水の神を宿している。それゆえに、それだけで妖怪に好かれたり嫌われたりすることがたまにある。そして勝手に嫌われては、こんなふうに一方的に攻撃をされる。とはいえ、たいていは勝手に好いたり嫌ったりするだけなので、具体的に危害を加えてくるものは危険なやつが多い。 「だから、サンタに守ってもらおうかと」 「サンタさんで大丈夫なの? ぼくも浮葉んちに行こうか?」 「いや、おまえは、なんかうるさいからいい」 「うるさくなんてしないよー! なんなら浮葉の世話もするよ!」  峯田が拗ねてパフェの上に載っていた抹茶カステラを口に入れる。 「俺で……大丈夫かな」  当のサンタは困惑している。さっきのは偶然キャッチできただけかもしれない。いくら今はやることがないからといって、大きな仕事を任されてもきちんとできる保証がない。まして他人の体を守るなんて。 「よくあることだから。いつも誰かそばにいれば、相手も諦めるだろ。まあ、俺の気の所為でなければ」  サンタは白玉のなくなった白玉パフェに目を落とした。アイスに触れて、冷たくなると白玉は硬くなるので早めに食べたほうがいい、という店員のアドバイスに従いそのようにしたが、そもそも食欲があまりない。しかし、一人一品は何か頼まないと殺す、というようなことを言われたので、峯田が頼んだものだ。 「では、よろしく」  浮葉は一緒に頼んでいたコーヒーを一口飲んで、サンタに微笑んだ。サンタはその微笑みを何故か懐かしく思った。     
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