1 サンタクロースが降ってくる町

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 京都駅で峯田を帰らせて、浮葉の自宅に二人で戻った。峯田は最後にサンタとLINEのIDを交換していた。サンタのジャケットのポケットにはモバイル端末も入っていたが、海外で契約したものだからか、wi-fiがないと繋がらなかった。  浮葉とサンタは荷物を置いて、リビングに座り、しばらく二人でぼんやりとした。サンタは今日の出来事をゆっくりと思い出していた。しかし、トナカイから落ちたときの記憶は、体の痛みで意識を取り戻したところからしか思い出せない。気が付けば古墳を転がり落ちて、そして、浮葉の顔を見た瞬間、たしかに自分は、彼に会いに来たのだとわかったのだ。ただし、何故「返してくれ」なんて口走ってしまったのかは……やっぱり思い出せない。 「そうだ、服、着てみるか」  浮葉がサンタ用に二つ、自分用に一つ買った福袋をそれぞれ開けた。一つの袋にパンツが一枚にシャツが二枚、ジャケット、コートが入っていて、外を歩くには困らない衣装一式揃っている。峯田が売れ残りだと心配していたが、そう変なものではなく、浮葉が自分で買いに行って選んでもおかしくないものだった。突っ立っているサンタに、浮葉はシャツをあわせてみせた。ふいに近づいた距離に、どこかやさしい香りがサンタに届く。 「こちらの色のほうが似合いそうだな。じゃあ、脱いで」  サンタは戸惑いつつもシャツのボタンに手をかけた。 「俺も着てみるか」     
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