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「いいか。もう一度言うが、過去のことは忘れて、今日はじめて出会ったつもりでいろ。あんたに懐いた過去の俺はもういない。あのときの悩みは解決したからな。もう一度俺を口説きたいなら好感度ゼロからだと思え」
こんな風に物理的に距離を取られるとさすがに少し悲しい。しかし、確かに今のは馴れ馴れしかったかもしれない。サンタはこくこくと頷いた。
「口説くことは禁止しないのか?」
「それは俺が口を出せることじゃないからな。って、そのつもりがあるのか?」
「……ある、とおもう。その、かんじんなことは忘れたけど、そもそもここに来たのは、あんたに会うつもりだった。念願の長期休暇だからな。まあ不本意だけど」
そんな風に言われるとは思っていなかったのか、浮葉は困惑した顔をした。
「そうか、じゃあせいぜい頑張れよ。俺は口説かれ慣れてるからな。明日から仕事だから、今日はもう寝る」
「おやすみ」
「おやすみ」
少しして、電気が消えた。
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