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「いえ、部屋は。浮葉の家にしばらく置いてもらえることになりました。仕事は……」
「ぼくが提案したんだけど、別のとこでレギュラーで仕事はじめちゃうと、サンタの問題が解決して帰らなくちゃいけなくなったときにすぐに辞めにくいでしょ。だからここなら、ほら、そのへんフラットだから」
「こっちだっていきなりいなくなられたりしたら困るよ。でもまあ……峯田のシフトを減らせばなんとかなるか」
「ええっ!」
「なんで不満そうなんだよ」
「だって冥闇会オフシーズンだから、ここ以外にぼくの収入減がないのに!」
「あ、あの、そういうことでしたら、俺は」
「いや、浮葉さんが許可を出すならぜひうちで働いてください。峯田よりも使いやすそうだ」
「そんな言い方はないよ」
峯田が店の奥に行き、荷物を降ろした。声だけが蚊鳴屋とサンタのところに届く。
「本当なら履歴書が必要なんだけど……まあ、ないですよね。銀行口座も……。今さらだけど、うち古本屋なので力仕事が多いけど大丈夫ですか?」
「はい。力仕事得意です」
サンタの答えに満足そうに頷くと、蚊鳴屋は浮葉に連絡するといって店に引っ込んだ。
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